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目次はじめにT. 何故今永く愛される建物かU. 永く愛されるとはV. 永く愛されるためにW. 永く愛される建物を作る為に提言)X.100年後の街並みY. 200年住宅を注文するエピソード  トピックス『ニューアンドクラフツ』トピックス『建設環境コーディネーター』トピックス 『土地問題と永く愛される建物』トピックス 『NPOと永く愛される建物』トピックス『日本民家に学び直す』永く愛される建物 まとめ」  

永く愛される建物 
     『まとめ』

 この研究テーマは、建設環境情報センターの建設倫理研究会に於ける第1回の研究テーマに取り上げられたものである。この研究テーマに行き着くまでにかなりの日数を費やした。それは建設環境情報センターが活動の理念として建設倫理という概念を用いているが、その概念を出来るだけはっきりと明確に理解していくべきだと研究会の全員が考えたからである。即ち、建設倫理に適う建設行為とはどのようなものかという根源的な疑問をもっているからである。本の題名を建設倫理の探求にするという考えもあったが、難しすぎるという事で現在のものになった。しかし、本書の出発点は建設倫理の探求である事は変わっていない。建設倫理の探求という観点でこれまでの議論をまとめると

1.建設行為にとって環境問題への対応は第一優先である。

2.建設行為は人類の生活の基盤作りであり、その適非は人類の幸不幸に深く関わる。

3.建設行為は人類の文化活動そのものであり、常に向上させなければならない。

4.建設行為は人類の世代を繋ぐ行為であり、常に子孫のことを考えて行わなくてはならない。

以上の観点から、建設行為を考え直すと、現状の日本の建設の状況には多くの問題がある。特に、使用される期間が諸外国に比べて極端に短い。街並みが美しくない。家の作り方(広さや間取りなど)が生活者の精神状況によくない影響があるのではないかと疑われる。

特に地球環境に対する視点が抜け落ちている。その他問題は山積しているが、この解決の為、建設環境情報センターは建設倫理の実践を提唱する。建設倫理とは

1.技術者の倫理

   品質確保など、作り手としての倫理

2.企業の倫理

   技術者倫理の実践をサポートする為、又その他の倫理を実践する為必要

3.環境倫理

   地球環境建築憲章に見られるように、子孫の為にも一刻の猶予もないと考える。

4.文化の倫理

   建設行為は文化的行為であって欲しい。建設行為は他者に新たな生活環境を与える行為であるので、独断的な行為は避けねばならない。

5.消費者の倫理

   建設行為は社会的影響が大きい。したがって消費者エゴはこれを避けねばならない。

   環境の倫理を守れるか、文化の倫理を守れるか、何れも発注者たる消費者に掛かっている。

以上5つの建設倫理の確立の為、建設環境情報センターは、建設産業にこれまで存在していない職能ではあるが、建設環境コーディネーターなる新しい職種の誕生をさせるべく、研究を開始している。建設環境コーディネーターは必ずや、建設倫理の確立の為、命を繋ぐ夢の200年住宅の実現の為、力を尽くしてくれるものと信じている。