環境ラベルは免罪符か
エコマークに代表される環境ラベルが急速に普及拡大している。CO2の抑制など環境問題は一刻の猶予も許されない時代に大変喜ばしい事である。今年始めの省庁再編でも、国土交通省が4つの省庁の再編成であるのに比べて、環境庁は省に格上げされて、政府の力の入れようが伺えると言いたい所であるが、予算的にみると十二省庁のうちで環境省の占める予算はわずか1%しかないのである。名目上の重点施策でしかないのは見え見えであり、こんな予算で本当の環境対策が出来るとは到底考えられない。 一方、民間のほうはISO14000シリーズの普及もあって、環境ラベル、タイプTのエコマークにいたっては一年前の23%増となっているという事である.。ちなみに環境ラベルにはタイプT,U、Vがあり、タイプTは第三者の認証が必要とされるラベルであり代表的なものはエコマークである。タイプU都は自己宣言による環境主張型ラベルの事を言う。タイプVの環境ラベルは製品の定量的環境情報の表示をするものとされている。例えば,第三者認証ラベルのエコマークは(財)日本環境協会が製造関係者,消費者,学識有識者の三者からなる委員会を開催してマークの使用を許可している。かなり厳密な審査が行われているようである。平成13年度から本格実施されるグリーン購入法によって、さらにマークの利用が進む事が考えられる。エコマークの設定された目的を読むと,環境にやさしくありたいと願う消費者に環境的側面の情報を提供しそれによって環境にやさしい商品を選択してもらう事にあるということである。したがって,製造メーカーのほうは当然売上の増加を期待する事になる。そのことは当たり前の事であり何ら非難にあたらない。しかし問題は消費者である。消費者が,エコマークに関心を持ち,マークの付いた製品を積極的に購買する事は予定の行動であるが、エコマークの付いた製品を使っているから自分は環境にやさしい行動をとっていると考えて、安易な消費行動になったら決して環境にやさしくはないのである。特にリサイクル可能な製品は,リサイクル出来るのだからと安易な使い方無駄な使い方をしたら、その方がエネルギーをより多く消費する可能性が高い。リサイクルするにもエネルギーは必要であり,一番環境にやさしい消費行動は勿体無いの精神で丁寧に消費する事であり、建物の場合は明らかに永く使う事である。ゴミのうち建設廃材は50%を占めるといわれておりリサイクルもさることながら100年以上使う事のほうが重要であり,構造や材料にもっともっと工夫が必要であると思う。エコマークの認定基準は環境基準と品質基準であるという事であるが、耐用年数にもっともっと比重を置いた基準に、特に建設関係は変えていってもらいたいものである。それと建設関係は省エネ対策が重要であり、むしろその為にはエネルギー効率の悪いリサイクル品は使わないくらいの考え方が必要である。循環型社会という事が言われているが,循環のサイクルまでいう事は少ない。短い循環では駄目なのである。如何に長い循環にするか,建物の場合は如何にして永く愛される建物を作っていくかを考えねばならない。そのような意味では,現在のエコマークの考え方では十分ではない。悪くすると、消費者にとっては環境問題に対する免罪符になってしまう可能性も否定できない。我々も,消費者に対するアプローチが重要であると考えているが、消費者は時にはエゴイストであり勝手な解釈をする事もあると考えておかなければならない。建設倫理は産業界だけでは達成できない。賢明な消費者を育てる事も重要である。特に大口発注者である国や地方自治体はグリーン-購入法の実施によって大半の環境対策が終わったなどと決して考えて頂きたくない。真の環境対策は無駄な施設を作らない,国民のニーズに合ったものを,永く愛されるように作る事である。環境省も建設環境については以上のような視点を入れて頂き,小手先の環境対策費に惑わされないで頂きたい.環境ラベルが真の環境保護への通行手形となる日を期待している。